令和5年度 和歌山労災病院 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 389 114 109 168 317 576 857 2089 1689 515
 入院患者の年齢階級別指標です。当院の入院患者数は60歳以上の患者様が多く、全体の7割を超えています。内容としては、肺炎や脳梗塞などの比較的重症になりやすく緊急性の高い症例などが多く見受けられます。股関節大腿近位骨折の地域連携パスを用いた症例も多く、地域医療の維持向上に貢献しております。また、10歳未満の患者様の人数が10~20歳代の患者数より多くみられます。この理由としては、産婦人科と小児科を標榜していることから新生児の入院が多いことと、小児科の救急入院、耳鼻咽喉科の手術入院が多いことなどが挙げられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)手術なし 処置2あり 74 18.95 13.99 5.41% 67.95
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 61 28.25 20.60 37.70% 86.00
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 30 22.43 13.52 26.67% 86.50
0400800499x00x 肺炎等(市中肺炎以外かつ75歳以上)手術なし 処置2なし 副傷病なし 17 17.06 19.08 17.65% 88.06
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害 手術なし 15 17.87 10.25 26.67% 79.47
 糖尿病患者の高齢化が進み、長期罹病期間によるさまざまな合併症を併発することが多く、血糖悪化とともに腎不全をはじめとする合併症悪化に対する各種治療件数が増加しています。また感染症として尿路感染、誤嚥による呼吸器感染の増加、重症化が目立ち多疾患併発とともに繰り返し治療を要する頻度も増加続いています。
呼吸器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 35 14.60 13.59 14.29% 76.46
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 30 27.90 20.60 33.33% 85.80
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 処置1あり 27 2.00 2.03 0.00% 54.67
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術なし 処置2なし 26 21.96 18.65 7.69% 73.62
0400800499x00x 肺炎等(市中肺炎以外かつ75歳以上)手術なし 処置2なし 副病なし 23 13.00 19.08 8.70% 83.74
 近年肺がんの罹患率が上昇し、当院においても肺がんの化学療法目的の入院が増加しています。平均在院日数は14.60日と全国平均と比較すると長くなっていますが、外来で化学療法を継続するなど患者さんの負担を軽減しています。また、肺の悪性腫瘍の確定診断のためにCTガイド下肺生検の入院も一定数あります。市中肺炎以外の高齢者の間質性肺炎が増加傾向にあります。
消化器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎-限局性腹腔膿瘍手術等 処置2なし 副病なし 107 10.91 8.75 4.67% 79.67
060050xx030xxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。)-肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)等 処置1なし 101 7.94 7.38 0.99% 76.73
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍-内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 33 6.61 7.61 0.00% 72.67
060035xx99x0xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-手術なし 処置2なし 30 2.90 8.34 0.00% 56.17
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)-内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 27 2.59 2.61 3.70% 67.44
 入院において消化器内科で多い疾患は肝・肝内胆管の悪性腫瘍で、なかでも肝細胞癌が多くを占めます。肝細胞癌は外科手術による治療を基本としていますが、全身状態や肝機能等の問題で外科手術の適応でないものも多く、切除不適または切除を希望しない方で根治的治療が期待できる方であればラジオ波焼灼療法またはマイクロ波凝固療法を行います。ラジオ波による治療件数は全国でも有数であり、外科手術にも劣らない成績を出しています。その他多発性のものや、進行癌、大きなものでラジオ波の適応とならない場合は経カテーテル的肝動脈化学塞栓術、骨転移や門脈浸潤に対しては放射線療法を行っています。
 最も多い疾患は総胆管結石およびそれに伴う閉塞性黄疸、胆管炎、敗血症等です。保存的に炎症がコントロール可能であれば、絶食、輸液、抗生物質の投与等で治療し、後日待機的に内視鏡で採石します。症状が重篤で緊急処置が必要な場合は可及的速やかに内視鏡で一期的に採石するか、まず胆管ステントを挿入し、胆管内にたまった感染胆汁や膿汁を排除し、後日採石します。
 多い症例は早期胃癌です。全例クリニカルパス(8日間)を用いて、内視鏡的粘膜下層剥離術を行っています。
循環器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-経皮的冠動脈形成術等 処置1なし 1,2あり 処置2なし 206 3.23 4.26 0.49% 72.75
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 処置1あり 処置2なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 119 2.17 3.05 0.84% 71.83
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 処置1あり 処置2なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 54 2.15 3.25 0.00% 73.87
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 処置1なし、1あり 処置2なし 副病なし 37 10.19 11.54 2.70% 72.11
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患-動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 処置1なし、1あり 処置2なし 副病なし 36 2.83 5.21 0.00% 76.53
 循環器内科で多い症例は狭心症などの疾患に対するカテーテル治療のための入院です。心臓を栄養する冠動脈という動脈が動脈硬化により狭くなっていることで、胸の痛みや呼吸困難などを来す疾患ですが、カテーテルという細い管を用いて、狭くなった血管にステントというコイル状の管を挿入し拡張する治療です。
 次いで多いのが同じく狭心症などに対する治療前や治療後のカテーテル検査のための入院です。たいていの場合は1泊2日の入院でご自宅に退院していただいています。
 3番目は急性心筋梗塞による緊急入院です。突然冠動脈が閉塞することにより発生する疾患で、放置すると命を落とす可能性がきわめて高い疾患です。救急受診後直ちにカテーテル検査を行い、閉塞した冠動脈をステントを用いて再疎通することにより、死亡率は5%以下にまで低下させることができます。その後はもとの生活に戻れるようにリハビリテーションを行い、経過が良ければ10日程度でご自宅に退院することができます。
近年は高齢化に伴い、原因特定の困難な心不全の患者様や、不整脈により高度の徐脈を来たし、ペースメーカー植込み手術を要する患者様が増加しています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上)手術なし 処置2なし 102 5.37 6.07 0.98% 0.00
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他)手術なし 59 4.71 5.96 0.00% 2.66
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満)手術なし 処置2なし 19 8.95 11.01 0.00% 0.00
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。)手術なし 副病なし 19 4.11 8.60 0.00% 2.63
040100xxxxx00x 喘息-手術なし 処置2なし 副病なし 16 6.06 6.37 0.00% 2.38
 小児科病棟の入院は、RSウイルス等をはじめとした乳幼児の下気道炎によるものが多くなっております。輸液や酸素投与等の短期のサポートで改善して、元気に退院していかれます。ロタウイルスワクチンの普及もあって、胃腸炎の入院は減少傾向のように思います。
 当院では、ハイリスクの分娩は専門施設にお願いしております。新生児病棟の入院は、新生児黄疸の光線治療、軽度の呼吸障害の経過観察、低出生体重児に対する初期のブドウ糖輸液等の入院が中心です。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)-ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 80 5.99 4.55 0.00% 71.44
060335xx02000x 胆嚢炎等-腹腔鏡下胆嚢摘出術等 処置1なし 処置2なし 副病なし 68 7.10 6.87 1.47% 66.09
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 処置1なし副病なし 42 18.60 15.12 2.38% 74.50
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍-胃切除術 悪性腫瘍手術等 18 30.89 18.01 5.56% 75.22
060170xx02xx0x 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア-ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 16 9.31 6.86 0.00% 76.19
鼠径ヘルニア:成人の鼠径ヘルニアを対象として、腹腔鏡を使った手術を第一選択として施行しています。従来の鼠径部を切開する方法と異なり、創の整容性に優れ、術後の創痛が軽減されます。手術前日に入院していただき、術後3日目の退院となっています。事務的な作業であれば退院翌日から可能です。

胆石症:胆石症に対しては特殊な例(高度に炎症のある症例、癌が強く疑われる症例など)を除き、腹腔鏡で胆嚢摘出を行います。前日に入院していただき、5日目に退院です。現在、お腹に開ける穴を小さくするなど低侵襲化を図っています。
                                                                                                                                            結腸癌:腹腔鏡下手術を第一選択としています。高度な狭窄を伴う患者さんを除き手術の1~2日前に入院し、10日から2週間程度で退院となります。再発予防を目的とする術後補助化学療法(抗癌剤治療)が必要な場合は外来で行います。                                                         
                                                                                              
胃癌:通常の胃癌に対しては胃切除(幽門側胃切除、噴門側胃切除)、胃全摘とも腹腔鏡下手術を第一選択としています。手術の1~2日前に入院し、12日から2週間程度で退院となります。高度に進行した胃癌(巨大な胃癌、高度なリンパ節転移を伴う胃癌、周辺臓器に浸潤するような胃癌)については、術前化学療法を行い腫瘍を縮小させた上で根治切除を行います。この場合は、腫瘍の状態に応じて、腹腔鏡下手術あるいは開腹手術を選択し、安全で確実な手術を行うことで良好な治療成績が得られています。最近は抗がん剤治療と免疫療法の併用が保険適応となったため積極的に行うようにしています。
                                                                                                                                           膵臓癌:膵頭部癌に対しては主要血管への接触の有無を精査し、術前化学療法を行ったのち、腫瘍を縮小させたうえで、膵頭十二指腸切除術を実施しています。膵体尾部癌に対しては腹腔鏡下膵体尾部切除術を積極的に取り入れ、低侵襲化を図っています。膵切除術後の合併症を低く抑えることで、早期の回復と術後補助療法の完遂を目指しています。
                                                                                                                                                                                   直腸癌:腹腔鏡下手術を第一選択としています。下部直腸の場合はリンパ節転移を制御する目的で術前に化学放射線療法を行うこともあります。
                                                                                                                                        食道癌:進行食道癌に対しては術後補助化学療法(抗癌剤治療)を3コース行った上で、胸腔鏡下で食道切除、再建術を行います。積極的に周術期のリハビリテーションを行っており、それにより手術翌日からの離床をすすめることができ、合併症予防に大きく貢献しています。             
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折-人工骨頭挿入術 肩、股等 135 27.84 25.50 74.81% 82.75
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等 60 24.70 21.96 23.33% 77.25
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)手術なし 60 23.47 19.34 71.67% 81.10
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等 55 28.46 19.55 5.45% 67.85
160690xx02xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)-経皮的椎体形成術 44 26.71 19.32 50.00% 80.45
 整形外科は、運動器の外傷や加齢による変性疾患を担当しています。全国的に骨脆弱性骨折は増加しており、当科でも高齢者の骨粗鬆症の治療に力を入れていますが、大腿骨近位部骨折や胸椎・腰椎の椎体骨折の高齢者が多数受診され、手術治療をおこなっています。当科では早期離床を目指して、できるだけ早期に安全かつ確実な固定を行っています。一方、慢性疾患である変形性関節症や脊椎疾患に対しては、クリニカルパスを利用し予定の日数で退院できるように術前術後計画を行っています。特に腰部脊柱管狭窄症では脊椎内視鏡手術や脊椎固定術を行っており、入院期間が短くなっています。人工膝関節置換術では、ナビゲーションシステムを用いて確実な人工関節の設置を行っています。また人工股関節置換術については低侵襲手術を行い、早期離床が可能となっています。手外科では、リハビリテーションと連携して、機能回復を重視した治療に力を入れています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)手術なし 処置1なし 処置2:4あり 副病なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 45 15.13 15.70 24.44% 69.53
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 処置1あり 処置2なし 44 2.16 2.95 0.00% 68.14
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷-その他の手術あり 処置2なし 副病なし 31 10.55 9.88 12.90% 73.77
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満)手術なし 処置1なし 処置2なし 副病なし 29 24.69 19.09 72.41% 67.97
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 処置2なし 副病なし 25 9.56 8.38 8.00% 65.52
 当科では24時間体制で救急患者さんを受け入れています。脳卒中急性期の症例が最も多く、その中で脳梗塞がもっとも多い病型となっています。一次脳卒中センターコア施設として血栓除去療法や超急性期血栓溶解療法、脳神経外科緊急手術に対応する一方、手術加療の対象とならない保存的治療の患者様も多く搬入されています。いずれの患者様でもできるだけ症状の進行を防ぎ機能回復を計るため、点滴と内服薬の治療に加え早期からリハビリテーションを開始します。近隣病院との脳卒中地域連携パスを活用しており、後遺症の残った患者さんは回復期リハビリテーション病院に転院します。
 脳ドックなどで未破裂脳動脈瘤が発見される症例も増加しています。MRIなどの低侵襲検査の精度も向上していますが、診断の確定や治療方針の決定が必要な患者様については検査入院でより精度の高い脳血管撮影を行い、治療方針を決定しています。脳血管内手術を適応することが多くなっていますが、従来通りの開頭手術にも対応しています。
 慢性硬膜下血腫は高齢者に多い外傷です。近年の高齢化に伴って、脳神経外科の手術のなかでは最も多い疾患となっています。軽微な外傷でも期間をあけて症状が徐々に進行することが多く、発見されたときには緊急の手術となることが多いです。通常は後遺症なく回復しますが、症状が進行した症例ではリハビリテーションのために転院する患者さんもいらっしゃいます。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 処置1なし 30 10.83 9.88 0.00% 68.13
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 28 3.82 5.64 0.00% 65.43
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 手術あり - - 4.00 - -
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術なし 処置2なし - - 18.65 - -
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術なし 処置1なし - - 12.88 - -
 呼吸器外科は呼吸器・乳腺外科を院内標榜としており、呼吸器外科医不在および人員不足のため、乳がん治療を中心に行っております。外来にてマンモグラフィ、乳房超音波検査、MRI、針生検などの診断装置を用いて診断を行っております。乳がんと診断後、入院にて手術を行い、退院後は最終病理診断結果に基づきガイドライン(NCCNガイドライン、日本乳癌学会乳癌診療ガイドライン)に沿って術後補助療法を外来にて施行しております。病期やサブタイプにより、外来での術前化学療法後に、入院、手術となる場合もあります。
 ※個人の特定を防ぐため、10症例未満はハイフン(-)で表示しています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍-子宮全摘術等 23 9.22 9.23 0.00% 45.65
120090xx97xxxx 生殖器脱出症 手術あり 21 11.43 7.89 4.76% 74.24
120010xx99x70x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 処置2:7あり 副病なし 19 4.37 4.05 0.00% 78.74
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍-子宮頸部(腟部)切除術等 処置2なし 16 2.81 2.96 0.00% 35.94
120070xx01xxxx 卵巣の良性腫瘍-卵巣部分切除術(腟式を含む。) 開腹によるもの等 14 10.29 9.68 0.00% 63.43
 産婦人科の婦人科での最も多い症例は、「子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等」が入っています。これには、当科開設時より積極的に取り組んできた超低侵襲手術である腟式単純子宮全摘術を含めた手術が反映されています。3番目に多いのは、卵巣癌、子宮頸癌や子宮体癌等の悪性腫瘍に対する薬物療法の為の入院です。   外来薬物療法が中心となっている現在ですが、患者さまの状況や薬物療法の内容(多量の点滴等)によっては入院して行っており、それが短い在院日数となっています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 133 2.67 2.54 1.50% 76.47
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり 両眼 62 2.03 4.46 0.00% 79.34
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 処置1あり 処置2なし 33 2.30 5.67 0.00% 75.48
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 10 3.80 7.81 0.00% 65.60
020200xx99x1xx 黄斑、後極変性 手術なし 処置2あり - - 2.09 - -
 眼科で最も多いのは、白内障手術を目的とした入院です。昨今は日帰り白内障手術が増えており、当科でも日帰り白内障手術を行っております。しかしご高齢やご自宅が遠方のために翌日の通院が負担となる場合は、患者様のご都合にあわせて入院での手術にも柔軟に対応しております。
 また当科では網膜、硝子体疾患に対し硝子体手術にも対応しており、白内障との同時手術も行っております。網膜、硝子体疾患は病因っては適切な手術時期を逸してしまった場合、不可逆的な視力低下の原因となる可能性があります。当科ではご本人やご家族の都合で通院加療が困難な場合入院での手術にも対応しており、術後は早期の退院ができるように侵襲の少ない手術を心がけてております。
 ※個人の特定を防ぐため、10症例未満はハイフン(-)で表示しています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 手術なし 35 7.54 7.53 0.00% 15.26
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 手術なし 29 8.17 6.02 0.00% 50.55
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 29 5.38 4.73 0.00% 60.97
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 22 5.86 5.51 0.00% 35.55
030240xx97xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 その他の手術あり 19 8.37 8.37 0.00% 27.58
 耳鼻咽喉科・頭頸部外科では鼻内内視鏡を用いた慢性副鼻腔炎の手術、小児期の扁桃肥大、アデノイド肥大に対する手術、口頭腫瘍摘出術、慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術、頭頚部腫瘍摘出術を数多く行っています。術後は鼻科手術および耳科手術の場合1週間程度で、扁桃やアデノイドの手術では8日程度で退院されます。
 救急症例としてはめまい症を積極的に受け入れ、症状改善までの1週間程度、点滴加療やリハビリテーションを行っています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症手術なし 処置1なし 28 14.29 12.88 7.14% 68.54
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。)その他の手術あり 処置1なし 17 3.18 4.28 0.00% 44.71
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)皮膚悪性腫瘍切除術等 処置2なし 16 10.69 7.22 6.25% 81.25
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物-皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 処置1なし - - 3.93 - -
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 手術なし - - 9.29 - -
 皮膚科で入院となる疾患は膿皮症が最も多く、次に皮膚や皮下に生じた良性腫瘍や皮膚悪性腫瘍に対する手術が続きます。全身麻酔が必要な手術や、局所麻酔による手術でも術後安静が必要な場合には入院が必要になります。
 ※個人の特定を防ぐため、10症例未満はハイフン(-)で表示しています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患-経尿道的尿路結石除去術 副病なし 76 5.18 5.22 0.00% 63.80
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 処置1あり 73 2.00 2.44 0.00% 74.03
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍-膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 処置2なし 41 8.10 6.85 2.44% 72.93
110070xx03x20x 膀胱腫瘍-膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 処置2:2あり 副病なし 28 7.86 6.59 0.00% 77.75
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等-経尿道的前立腺手術等 15 10.53 7.75 0.00% 75.60
 泌尿器科で多い疾患は腎臓や尿管、膀胱にできた結石で自然に排石しなければ手術を行います。尿道の出口から内視鏡を挿入して結石を砕石して取り除きます。前立腺癌は確定診断のため前立腺組織を採取する前立腺針生検を目的とした入院が多いです。膀胱癌は経尿道的手術で根治できる場合が多いですが再発することも少なくないため、再発予防目的に手術後に抗癌剤を膀胱に注入することがあります。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x0xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2なし 20 9.00 9.08 0.00% 75.45
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2:5あり 14 26.86 19.61 7.14% 77.86
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2:4あり - - 9.62 - -
130030xx97x00x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 処置2:なし 副病なし - - 7.93 - -
130030xx99xaxx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2:Aあり - - 11.37 - -
 血液内科の症例で多いものは、非ホジキンリンパ腫に対する抗がん剤治療導入のための入院です。つまり、初めて抗がん剤を使う患者様で、その治療による副作用が軽ければ、2回目以降は通院治療となります。最近は、分子標的薬と呼ばれる抗体療法剤を併用することが多くなっています。また、残念ながら、抗がん剤治療による副作用が重く、特に血液細胞の数が少なくなる症例もあり、輸血に頼る場合があります。そのなかで、治療終了後ただちに自宅静養ができない患者様は、体力も落ちているので、リハビリテーションを主体とした治療継続のため、当院より他の医療機関に転院されることがあります。
 ※個人の特定を防ぐため、10症例未満はハイフン(-)で表示しています。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010080xx99x0x1 脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし 処置2:なし 15歳以上 8 11.38 16.56 0.00 48.13
010230xx99x00x てんかん 手術なし 処置2なし 副病なし 8 8.88 7.19 0.00 61.38
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 処置2なし 副病なし 7 22.57 18.24 14.29 75.71
010230xx99x30x てんかん 手術なし 処置2:3あり 副病なし 7 13.14 13.15 14.29 78.71
010110xxxxx4xx 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術なし 処置2:4あり 6 24.17 16.97 0.00 67.00
 令和5年度で脳神経内科において入院の多い疾患はてんかん、パーキンソン病となっています。また、免疫介在性・炎症性ニューロパチー入院のほとんどは慢性炎症性脱髄性多発神経炎であり、ガンマグロブリン療法にて症状の改善が認められます。
 
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 47 - - 19 - 19 1 8
大腸癌 37 23 30 14 35 15 2 9
乳癌 17 26 - - - - 1 8
肺癌 - - 13 68 20 104 1 8
肝癌 16 - - - - 81 2 6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 当院では、胃癌、大腸癌、肝癌を消化器内科と外科で、肺癌の内科的治療を呼吸器内科、肺癌の外科的治療、乳癌を呼吸器・乳腺外科(院内標榜)で主に診療しております。なお、肝癌については、平成29年7月に肝臓内科が新設され、専門的な診療を行っております。
 胃癌はⅠ期・Ⅳ期の患者様が、大腸癌はⅢ期・Ⅳ期の患者さんが比較的多く見られます。早期の胃癌患者様に対しては、患者さんへの身体的負担が比較的少ない内視鏡的手術や腹腔鏡下手術を主に行っています。また、癌のステージによっては化学療法も実施しております。
 肺癌治療には外科的切除、放射線療法、抗癌剤による化学療法がありますが、進行癌(StageⅢ以上)が多いことから手術適応の症例は少ないです。もちろん個々の症例についてはその組織診断、病期診断、さらには遺伝子診断によって、適切な治療法を選択しています。また、近年肺癌の内科的治療の進歩が著しく、新薬の使用頻度が高くなっています。
 乳がん治療は、手術や放射線治療による局所療法と、薬物療法による全身治療によって構成されます。集学的にこれらの治療を組み合わせ、乳がんの多様な特性に対応し、治療効果を増強させ、可能な限り治療への耐性を克服することを目標としています。マンモグラフィや乳房超音波検査、針生検等のモダリティを用いて組織診断、病期診断を行い、ガイドラインに沿って治療を行っています。
 肝がんの診断と治療方針の決定は、肝臓内科が行います。肝がんの進行度・悪性度と、肝機能の評価を行い、個々の患者様にとって最適な治療方針をご提案させていただきます。さらに肝がんの原因になった慢性肝炎・肝硬変の原因を精査し、慢性肝炎、肝硬変の治療も御提案します。肝がんの治療には、肝切除、ラジオ波やマイクロ波などの経皮的局所療法、肝動脈塞栓術、化学療法、放射線治療がありますが、外科では肝切除、肝臓内科では経皮的局所療法と化学療法、放射線科では肝動脈塞栓術と放射線治療を担当し、3科で協力して癌治療を行います。肝がんは治療後も再発を繰り返す癌ですので、治療後の定期検診と肝炎治療は、肝臓内科が行います。
 ※個人の特定を防ぐため、10症例未満はハイフン(-)で表示しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 22 12.23 53.77
中等症 48 15.04 81.29
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
 市中肺炎を重症度別にみた患者数です。数では中等症の患者が多くを占めています。中等症患者は平均在院日数が伸びることや平均年齢が上がるなどの傾向がみられます。
 ※個人の特定を防ぐため、10症例未満はハイフン(-)で表示しています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 189 24.02 75.95 36.06%
その他 19 21.00 74.21 4.33%
 脳梗塞は脳卒中のなかで最も多く、救急搬送される患者さんが多いため、発症日から3日以内の入院が多くなっています。当院では一次脳卒中センターコア施設として、救急隊からの直通電話(脳卒中ホットライン)に対応し、血栓溶解術や血栓除去手術、緊急開頭術や内視鏡治療などを行います。外科治療や血管内治療の対象ではない患者さんでも、できるだけ症状の進行を防ぎ機能回復を計るため、点滴と内服薬の治療に加え、早期からリハビリテーションを開始します。近隣の病院との脳卒中地域連携パスを活用しており、後遺症の残った患者さんは回復期リハビリテーション病院に転院します。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
消化器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K697-22 肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法(その他) 102 1.01 6.16 0.98% 76.87
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 79 5.20 12.82 8.86% 79.43
K6872 内視鏡的乳頭切開術(胆道砕石術を伴う) 40 3.78 7.33 10.00% 81.35
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 37 1.16 4.38 0.00% 72.89
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 34 1.09 4.79 2.94% 72.82
 入院において消化器内科でもっとも多い手術は肝悪性腫瘍マイクロ波凝固療法です。切除不適または切除希望しない方で、根治的治療が期待できる方に実施しています。手術成績は外科的切除術とほぼ同等です。
 2番目は内視鏡的胆道ステント留置術です。胆管の閉塞部位にステントというストロー状の短い管を入れることで、胆汁や膵液の流れの改善を目的とする治療法です。病態に応じてプラスチック製のものや金属製のものを使います。
 その他早期胃癌に対する内視鏡的胃粘膜下層剥離術です。クリニカルパスを用いて、ほぼ全例完全切除され治癒しています。
循環器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 135 1.61 1.90 3.70% 73.44
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 49 1.16 2.14 2.04% 77.84
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 36 1.44 3.00 2.78% 73.47
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) 36 0.25 11.94 8.33% 73.08
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 35 0.03 4.51 8.57% 71.00
 循環器内科では、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈形成術、ステント留置術といった心臓カテーテルを用いた治療の症例数が多くなっています。カテーテル治療は、腕や脚の血管からカテーテルという管を心臓まで通し、動脈硬化や血栓など閉塞、狭窄した心臓の動脈を拡張する方法です。たいていの患者様は検査治療の前日ないし当日に入院していただき、問題がなければ翌日退院していただいています。 高度の石灰化を伴う、硬い動脈硬化病変に対しては、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルを用いた治療を行っています。これは先端がダイヤモンドでできた器具を高速回転させることにより、通常のバルーンカテーテルでは拡張困難な硬い病変を切削して開大する治療法です。
 下肢などの閉塞性動脈硬化症に対する治療の件数も増加しています。下肢の動脈閉塞により、歩くと脚が痛くなるなどの症状が出現しますが、カテーテル治療を行うことにより、劇的な自覚症状の改善が得られます。こちらも入院日数は2~3日程度です。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 79 1.25 3.67 0.00% 70.86
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 79 3.96 5.44 3.80% 66.81
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 53 3.98 16.45 3.77% 73.89
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 13 1.46 4.15 0.00% 29.69
K7434 痔核手術(脱肛を含む)(根治手術(硬化療法を伴わない)) 12 1.00 6.25 0.00% 61.50
鼠径ヘルニア:成人の鼠径ヘルニアを対象として、腹腔鏡を使った手術を第一選択として施行しています。従来の鼠径部を切開する方法と異なり、創の整容性に優れ、術後の創痛が軽減されます。手術前日に入院していただき、術後3日目の退院となっています。事務的な作業であれば退院翌日から可能です。

胆石症:胆石症に対しては特殊な例(高度に炎症のある症例、癌が強く疑われる症例など)を除き、腹腔鏡で胆嚢摘出を行います。前日に入院していただき、5日目に退院です。現在、お腹に開ける穴を小さくするなど低侵襲化を図っています。

胃癌:通常の胃癌に対しては胃切除(幽門側胃切除、噴門側胃切除)、胃全摘とも腹腔鏡下手術を第一選択としています。手術の1~2日前に入院し、12日から2週間程度で退院となります。高度に進行した胃癌(巨大な胃癌、高度なリンパ節転移を伴う胃癌、周辺臓器に浸潤するような胃癌)については、術前化学療法を行い腫瘍を縮小させた上で根治切除を行います。この場合は、腫瘍の状態に応じて、腹腔鏡下手術あるいは開腹手術を選択し、安全で確実な手術を行うことで良好な治療成績が得られています。最近は抗がん剤治療と免疫療法の併用が保険適応となったため積極的に行うようにしています。

結腸癌:腹腔鏡下手術を第一選択としています。高度な狭窄を伴う患者さんを除き手術の1~2日前に入院し、10日から2週間程度で退院となります。再発予防を目的とする術後補助化学療法(抗癌剤治療)が必要な場合は外来で行います。

急性虫垂炎:長期にわたり高度な炎症を伴うものを除いて、腹腔鏡下虫垂切除を第一選択としています。従来の開腹手術と比較して、痛みが少なく、整容性にすぐれ、癒着の少ないなど多くの利点があります。病状によっては一旦、抗生剤で炎症を抑えておいて、後日、時間のとれる時に手術を行う、待機的腹腔鏡下虫垂切除も行っています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(膝) etc. 118 2.03 23.75 15.25% 72.54
K0461 骨折観血的手術(大腿) etc. 102 2.78 21.18 65.69% 81.75
K0811 人工骨頭挿入術(股) 55 4.51 22.38 78.18% 82.64
K142-4 経皮的椎体形成術 45 11.82 14.09 51.11% 80.36
K134-22 内視鏡下椎間板摘出(切除)術(後方摘出術) 28 3.11 6.93 0.00% 55.14
 整形外科では、高齢者が転倒して負う四肢の骨折に対する骨折観血的手術や椎体骨折に対する手術が多くなっています。これらの症例に対しては可能な限り強固な固定及び術後の早期離床を行い入院期間の短縮をめざしています。
 高齢化社会の到来により下肢の変形性関節症(膝関節、股関節)に対する手術目的での入院患者も増加しています。これらの手術はほぼ予定手術であり、クリニカルパスに沿って術後約3週で退院できる比率を高く保てています。
 脊椎椎体骨折後の偽関節により疼痛が持続したり、神経組織の圧迫が生じて下肢麻痺が出現した患者さんに対し、インスツルメントを用いた腰椎除圧固定術を施行しています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 30 2.00 11.40 23.33% 76.87
K1781 脳血管内手術(1箇所) 22 1.14 32.18 18.18% 69.64
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 19 6.05 8.32 15.79% 75.84
K178-4 経皮的脳血栓回収術 18 1.67 38.44 83.33% 80.67
K164-5 内視鏡下脳内血腫除去術 11 1.55 39.64 81.82% 65.64
 慢性硬膜下血腫は、高齢者に多い外傷です。近年の高齢化に伴って、脳神経外科手術の中では最も多い疾患となっています。軽微な外傷でも期間をあけて徐々に症状が進行することが多く、発見された時には緊急の手術となることが多いです。通常は後遺症なく回復しますが、症状が進行した症例ではリハビリテーションのために転院する患者さんもいらっしゃいます。
 頚動脈狭窄症に対し、脳梗塞の予防としてステント留置術をおこなう患者さんも増えています。局所麻酔でできるため、負担も少ないです。
 その他には脳動脈瘤は脳の血管に瘤ができる病気で、破裂するとくも膜下出血を起こします。突然の発症で救急受診され、CTや脳血管撮影を行い診断を確定します。治療法としては、開頭クリッピング術と脳血管内コイル塞栓術があり、当院では両方の治療が可能です。最善の治療法を検討して根治術を行います。 脳ドックなどで脳動脈瘤が発見される症例も増えています。破裂前に治療できるので、経過は良好です。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 29 0.10 2.79 0.00% 65.52
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 15 0.00 8.87 0.00% 66.07
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) - - - - -
K4742 乳腺腫瘍摘出術(長径5cm以上) - - - - -
K474-2 乳管腺葉区域切除術 - - - - -
 呼吸器外科においては、呼吸器・乳腺外科を院内標榜しており、乳癌に対する乳房部分切除術、乳房切除術が多い手術と成ります。乳癌を根治するだけではなく、術後のQOL(生活の質)を向上させることに主眼を置き、画一的な治療ではなく患者さんの病状やライフスタイルに合わせて治療を選択できるように努めています。
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産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877 子宮全摘術 40 0.98 7.75 0.00% 50.30
K8654 子宮脱手術(腟壁形成手術及び子宮全摘術)(腟式、腹式) 17 2.59 8.41 5.88% 71.18
K867 子宮頸部(腟部)切除術 16 0.81 1.00 0.00% 35.94
K848 バルトリン腺嚢胞腫瘍摘出術(造袋術を含む) - - - - -
K8732 子宮鏡下子宮筋腫摘出術(その他) - - - - -
 指標の1番目に挙がっている「子宮全摘術」は、産婦人科の良性疾患である子宮筋腫や子宮腺筋症の他、子宮頸部上皮内癌をはじめとした上皮内腫瘍や異型子宮内膜増殖症等にも行われています。当院ではその中でも超低侵襲である腟式単純子宮全摘術を行うことが多く、患者さまの生活の質の向上と術後入院日数の短縮につながっています。  
 2番目に多い手術は、高齢化に伴って増加している「子宮脱手術(腟壁形成手術及び子宮全摘術)(腟式、腹式)」です。年齢と術後の排尿状況の確認の時間が必要な為、若干の術後入院期間の延長を認めています。                                       他に多い手術は、子宮頸癌IA1期までの症例に行われている「子宮頸部(腟部)切除術」円錐切除術、バルトリン腺嚢胞腫瘍摘出術(造袋術を含む)、子宮鏡下子宮筋腫摘出術(その他)です。
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眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 195 0.45 1.02 1.03% 77.47
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 46 0.20 1.59 0.00% 72.65
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 13 0.15 1.85 0.00% 78.31
K2682ロ 緑内障手術(流出路再建術)(その他のもの) - - - - -
K2172 眼瞼内反症手術(皮膚切開法) - - - - -
 眼科で施行している最も多い手術は白内障手術です。白内障手術は日帰り手術、入院手術ともに行っており、患者様のニーズに応えることができるよう工夫しています。白内障以外の手術でも、患者様のご希望に応じて入院、外来のどちらでも受療できるように心がけています。また当科では硝子体手術にも対応できる機器を備えており、幅広い疾患に対応できる体制をとっております。
 ※個人の特定を防ぐため、10症例未満はハイフン(-)で表示しています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 55 1.13 6.55 1.82% 22.09
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 31 3.61 6.29 0.00% 52.52
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 19 0.05 4.79 0.00% 47.00
K3932 喉頭腫瘍摘出術(直達鏡) 14 1.00 1.86 0.00% 60.64
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 13 1.00 4.92 0.00% 43.77
 診断群別患者数と同様に手術別患者数でも、内視鏡下鼻副鼻腔手術と口蓋扁桃摘出術が最も多くなります。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 75 3.87 2.97 0.00% 63.99
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 66 1.50 5.46 1.52% 74.64
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 17 3.82 11.41 11.76% 71.18
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 13 1.00 12.00 7.69% 75.92
K7981 膀胱結石摘出術(経尿道的手術) 11 1.09 2.27 0.00% 80.55
 腎や尿管、膀胱の結石には自然に排石しない結石に対して内視鏡でレーザーを用いて砕石します。膀胱癌の経尿道的手術には灌流液に電解質溶液を使うものと、その他のものがあります。治療方法に変わりはありませんが、電解質溶液を使えば灌流液が血液の中に入ることによって起こる副作用が少なくなります。  尿管結石や尿管内外の腫瘍によって尿管が閉塞し、腎不全や閉塞性の腎盂腎炎が起こった場合にステントという細い管を尿管に留置します。また、尿管ステントが留置できない場合は皮膚から直接腎臓に管を入れる腎瘻を造設します。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 23 0.34%
異なる 14 0.21%
DIC(播種性血管内凝固)、敗血症、その他の真菌症、手術・術後の合併症の症例数と発生率を集計しました。

●DPCコード
 14桁ある診断群分類コードのうち、6桁の「疾患コード」で集計しています。「疾患コード」には、それぞれに対応する「疾患名」が付いています。6桁のみでの集計ですので、治療方法には関連しません。

●傷病名
◇DIC(播種性血管内凝固)
 血管内のさまざまな場所で血液が固まった「血栓」ができてしまう全身性の重症な病態です。がん、敗血症、ショック、熱中症等、必ず原因となる基礎疾患があります。

◇敗血症
 感染症にかかった際に血液中に病原体が入り込む全身性炎症性反応を伴う重症な病態です。

◇真菌症
 真菌がヒトや動物の体の障壁を越えて定着することに起因する感染症です。

◇手術・術後の合併症
 手術や処置等に不随して一定割合で発生してしまう病態であり、合併症の発生はどのような患者様でも起こり得ることです。

●入院契機
 入院の契機となった傷病名(原則、入院診療計画書に記載された傷病名)です。最終的には、一入院で一つ最も医療資源を投入した傷病名(DPC病名)を決定し、包括請求をします。DPC病名と入院契機病名が「同一」か「異なる」かにより分けて集計しています。
 「同一」とは、入院契機病名とDPC病名が同じ、「異なる」とは、入院契機病名とDPC病名が異なるということです。「異なる」の場合、原因となる病気が後に判明した、違う病気を併発していた、入院後に違う病気が発症したことを表し、それらの治療が主に行われたことを表します。

●発生率
 令和3年度の全退院患者数のうち、該当するDPCコードで請求となった患者様の割合です。

●解説 
 DIC(播種性血管内凝固)や敗血症は、DPCでは高額な点数が設定されており、本来、これらの病名をDPC病名として選択する場合、診療内容が医療資源の投入量等の根拠に乏しいものであってはならず、その根拠が診療録に適切に記録されている必要があります。そうでなければ、アップコーディング(不適切な入院医療費請求)を疑われかねないDPC病名とされています。


 手術・術後の合併症については、37例中23例がDPC病名と入院契機病名が同一である症例でした。言い換えれば、手術・術後の合併症を主訴として入院され、その治療目的の患者様が多いということです。内訳としては、後出血(T810)、人工股関節脱臼(T840)、術後創部感染(T814)などとなっております。
 手術や処置などは、合併症を起こさないように細心の注意を払って施行していますが、合併症はどうしても一定の確率で起こり得ます。起こり得る合併症につきましては、施行前に可能な限り患者様、ご家族などに説明の上、同意をいただくようにしております。                                           
 ※個人の特定を特定を防ぐため、10症例未満はハイフン(-)で表示しています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
1,098 1,042 94.90%
⾎栓塞栓症は突然死を引き起こす可能性のある重篤な疾患で、⼤きな⼿術の後に起こる可能性があります。予防⽅法には弾性ストッキングの着⽤や間歇的空気圧迫装置の使⽤、抗凝固薬療法などがあり、リスクレベルに応じて単独あるいは併⽤が推奨されています。肺⾎栓塞栓症の予防⾏為の実施は、急性肺⾎栓塞栓症の発⽣率を下げることにつながると考えられています。
当院では、リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率は約95%となっています。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
1456 1342 92.2%
広域抗菌薬を使用する際、投与開始時に血液培養検査を行うことは望ましいプラクティスとなります。また、血液培養は1セットのみの場合の偽陽性による過剰治療を防ぐため、2セット以上行うことが推奨されています。
当院では、血液培養2セット実施率は約92%となっています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
891 609 68.35%
近年、多剤耐性アシネトバクター属菌や、幅広い菌種に効果を有するカルバペネム系抗菌薬に耐性のある腸内細菌科細菌など、新たな抗菌薬耐性菌(以下、耐性菌)が出現し、難治症例が増加していることが問題となっています。不適切な抗菌薬の使用は、耐性菌の発生や蔓延の原因になることから、各医療機関において抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team:AST)を組織するなど、抗菌薬適正使用を推進する取り組みが求められます。抗菌薬適正使用の鍵を握るのは正確な微生物学的診断であり、抗菌薬投与前の適切な検体採取と培養検査が必要です。当院では、広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率は約68%となっています。
更新履歴
R6.10.1